薬剤師なら1度は買ったことがある「今日の治療薬」。薬剤師のバイブルといっても過言じゃありません。
病院と調剤薬局を問わず、どこの職場でも必ず置いてあり、薬剤師が薬について調べる時によく使用します。
そんな「今日の治療薬」ですが毎年1月に発売されており、新薬の追加や添付文章の改訂、ガイドライン変更に伴っての解説変更など、毎回内容が更新されます。
しかし、1冊大体5000円となかなかの価格です。毎年は買い替えていない薬剤師の方が多いのではないでしょうか?
テンパの場合は大きな内容変更があった場合のみ買い替え、それ以外はその時つかっているものに変更部分を直接追記して、2~4年使っています。
それに最新版は必ず職場に置いてあるため、最新情報が必要な場合はそちらを使って確認するようにしています。
では、今年発売の「今日の治療薬2020」は買い替えた方が良いのでしょうか?
結論から言うと、今年は買い替えをおすすめします!
2020年版は数年ぶりの大幅改訂がありました。中でも今回から追加された「図で見る薬理作用」は、作用機序のおさらいにもってこいです。
今回は「今日の治療薬2020」改訂ポイントについて紹介します。
買い替えに悩んでいる方はぜひ参考にして下さい。ちなみに今年はラベンダー色です。
目次
「今日の治療薬2020 解説と便覧」商品情報
「今日の治療薬2020年版」の注目改訂3ポイント
- 新章「免疫疾患治療薬」が追加
- 解説に「図で見る薬理作用」が追加
- 便覧に「AG」と「医!」「施!」マークが追加
2020年版はこの3つが個人的に注目ポイントです。
詳しくは次の項目で説明していきます。その他にも、索引に「探しにくい適応症ガイド」、巻末付録に「2019年11~12月部会承認の新薬」が新設されています。
新章「免疫疾患治療薬」が追加
2019年版までの「免疫抑制薬」と「抗リウマチ薬」の各章、炎症性腸疾患と乾癬の解説と便覧が結合し、2020年版では新章として「免疫疾患治療薬」が追加されました。
以前までは臨床での使い勝手を重視していたため、「免疫抑制剤」と「抗リウマチ薬」が分かれていました。
しかし、近年関節リウマチの治療で生物学的製剤を含む免疫抑制薬が使用されるケースが増えてきたことや、それらの免疫抑制薬の一部が炎症性腸疾患や乾癬などでも適用が追加されたこともあり、免疫疾患という大きなくくりで横断的に見ることできるよう、まとめてひとつの章に再編集されました。
新たに追加された「図で見る薬理作用」で知識の整理を!
章の解説に「図で見る薬理作用」が新たに追加されました。薬の分類ごとに薬理作用図がひとつにまとめられているので、知識の整理に最適です。
「図で見る薬理作用」が追加になった章は以下の18つの章です。
- 副腎皮質ステロイド
- 鎮痛薬
- 免疫疾患治療薬
- 糖尿病治療薬
- 脂質異常症治療薬
- 骨・カルシウム代謝薬
- 抗血栓薬
- 降圧薬
- 利尿薬
- 気管支喘息治療薬、COPD治療薬
- 下部消化管疾患治療薬(下剤など)
- 抗精神病薬、抗うつ薬、その他
- 抗不安薬、睡眠薬
- 抗てんかん薬
- パーキンソン病治療薬
- 抗認知症薬
- 泌尿器・生殖器用剤
- 眼科用剤
学生のころは薬理学で薬理作用図をよく目にしていたと思いますが、薬剤師として働き始めてからは薬理作用図を見る機会が減ったのではないでしょうか。
追加された薬理作用図はどれも見やすいうえに、発売されて比較的新しい薬の薬理作用にも対応しています。この機会に薬理作用の総復習をしても良いかもしれませんね。
「AG」と「医!」「施!」マークの追加でより便利に!
オーソライドジェネリックに「AG」マークが追加
オーソライドジェネリックに「AG」マークが追加されて、後発品(ジェネリック)と区別して便覧に表記されるようになりました。
後発品の切り替えを国が推奨していることもあり、以前よりは患者の後発品に対する抵抗が減ってきたように感じますが、中には「先発品じゃないとイヤ」という患者もまだまだいます。
そういった場合は、先発品と同じメーカーが販売している後発品(AG)を勧めると意外と後発品に変えてくれます。
「AG」マークが追加されたことで、AGの発売有無が一目瞭然になりました。
使用できる医療施設や医師が限定されている薬剤に「医!」「施!」マークが追加
薬の中には使用できる医療施設や医師の登録が必要なものが存在します。このような薬に対して、便覧の備考欄警告に「医!」「施!」のマークが追加されました。
例えば、薬局登録が必要なものだとコンサートやリタリン、処方医登録が必要なものだとアフィリトールなどの抗悪性腫瘍薬があります。
その他にもいろいろあるので、あまり馴染みのない薬が処方されている場合は、このマークがないかを確認しておくとミスを防ぐことができます。
今年の「今日の治療薬2020年版」は買うべき!
毎年発売されるし、職場にあるから・・・と「今日の治療薬」の買い替えタイミングを悩んでいる方は、ぜひ今年の買い替えをおすすめします!
上で説明した通り、2020年版は数年ぶりの大幅改訂がありました。新たに追加になった「図で見る薬理作用」は薬理作用の知識整理に最適ですし、いろいろなマークが追加されて業務を効率化できるので、買う価値は十分にあると思います。
まだ全ての章に「図で見る薬理作用」が追加されていませんが、そこは今後に期待です。
商品ページにも詳しい情報が書かれているので、そちらも参照してください。