毎年発売される新薬ですが、新薬の投与制限って本当に面倒ですよね!
投与制限の解除日を把握していないと、「あれ?1年経っていないのに30日分で処方されている」なんてケースがたまにあり、この場合は疑義照会の対象です。
薬剤師なら新薬は1年間は投与制限があり、基本的には14日分しか処方できないということは常識です。しかし、いつから1年経過すると投与制限が解除されるのか詳しく説明できるでしょうか?
意外と分からなくてなってしまうものです!笑
むしろ、これらの承認日や薬価基準収載日の違いを、曖昧に認識している薬剤師の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は新薬の投与制限解除日と承認日、薬価基準収載日、販売日についてまとめています。
新医薬品の14日制限解除は薬価基準収載日の翌年の翌月から
新薬は正式には新医薬品といい、薬価基準への収載の日に属する月の翌月から換算して1年を経過していないものという定義があります。(薬機法第14条の4第1項第1号より)
つまり、新薬の投与制限である14日のしばりが解除されるのは、薬価基準収載日の翌年の翌月1日からということになります。
投与制限の解除日を知りたい場合は、添付文書のココを見れば一発で調べることができます。
ここでは2020年1月から販売開始されたキノロン系経口抗菌剤のラスビックの添付文書を参考にしています。
右上の「薬価収載」が2019年11月になっているため、投与制限が解除されるのは2020年12月1日からということになります。
添付文書を使って新薬の薬価基準収載日を確認するのが一番確実ですが、「今日の治療薬」にも新薬の場合は新薬マークと薬価基準収載日が表記されているので、わかりやすく便利です。
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承認日と薬価基準収載日の違い
新薬の投与制限は、薬価基準収載日を確認すればすぐに調べられることが分かったと思います。薬価基準収載日も添付文書の右上にしっかり表記されていました。
では、ここでひとつ疑問が・・・
MRの医薬品情報で「新作用機序の○○○が承認されました!」なんて情報をよく耳にしますが、承認日と薬価基準収載日って何が違うのか?
医薬品の承認とは
医薬品の製造販売にあたり、製薬会社は厚生労働相に承認申請し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が医薬品医療機器等法に基づいた有効性と安全性の審査を行い、問題なければ承認を得ることができます。
薬価基準収載とは
医薬品の承認だけでは公的医療保険は適用されません。保険が適用されるためには、薬価を決めて薬価基準に収載されなければなりません。
そのため、製薬会社は承認を得た後、保険適用の希望書を厚労相宛てに提出します。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が医薬品の公定価格である薬価を査定し、効能が類似している既存薬の薬価や、製薬会社が算出した原価などを基に薬価が決定します。
ちなみに、新薬の薬価収載のタイミングは2月、5月、8月、11月の年4回と決まっています。薬価改定が行われる年は、2月の薬価収載が改定後の4月にずれます。ただし、抗HIV薬など、年4回のタイミングにかかわらず緊急的に薬価収載される薬もあります。
新薬の販売開始までの流れ
医薬品の販売開始までの大まかな流れを説明するとこんな感じです。
承認 薬価収載 販売開始
薬価基準収載は、承認から原則60日以内、遅くとも90日以内に行うというルールがあります。
また、薬価基準収載の申請と同時に、製薬会社は新薬の説明パンフレットの作成などの販売開始への準備を始めます。そして、薬価基準収載後2ヵ月以内に流通が開始されるケースがほとんどです。